ガラス





薄氷の様に、繊細で華奢なガラスが好きです。
以前、大好きだった人にお土産だよと渡された、
白鳥の形をしたガラスの器に入ったポプリ。
首の所に赤いリボンが付いている、薄いガラスで出来たその白鳥を、
それはもう大事に大事に飾っていたのだけれど、
ある日、掃除をしていた時にうっかり倒し、そしてあっけなく壊れてしまったのは、
その恋を断ち切ろうとしていた頃。
我ながら、タイミング抜群でした。


薄いガラスを見ていると、その美しさに心を奪われる一方で、
渾身の力で握り潰してしまいたくなる衝動に駆られます。
美しいものを愛でる一方で、それを嫌悪するという。
嫌悪というよりは、嫉妬なのかも知れません。
何というか、美しいものを前にすると、自分の醜さを改めて突きつけられる様な。
そんな気がしてならないのです。
何より醜いのは、そう感じる心の内側なのかも知れないけれど。


ガラスをぎゅっと握り潰して、手の平から滴る真っ赤な血を、
他人事の様にただただ眺めているだけの自分。







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