年中行事のお話
『楽しいから参加』だけじゃもったいないっ!
意味があるから、ずっと昔から続いている行事ごと。
『元旦』と『元日』
『元旦』と『元日』。両方とも同じ事を表しているのかと思えばそうではないのです。
元旦の『旦』とは朝を表す言葉であり、元旦とはその一語で、『1月1日の朝』の事を意味するのです。
これは元日も同じ事で、元日の一語で『1月1日』という意味になります。なので、年賀状などで時々見掛ける、『1月1日・元旦(元日)』という表記は、念押しをしているのと同じ事。
こう考えると、ちょっとくどいですね(笑)。
『元日は掃除をしてはいけない』と云われておりますが、元日に掃除をする事は、『やって来た福を掃き出す』という事になり、古くから非常に嫌がられておりました。
けれどこれは後付けで、年中無休で家事に追われている家庭の主婦を、せめて元日のその日位はお休みさせましょうという、ねぎらいの意味があると云われております。
何かと忙しく動き回っている現代人も、お正月の時位は皆がゆっくりくつろぐ、スローな時間を持ちたいものですよね。
お花見
春のお楽しみの1つでもある『お花見』。
酔っ払って馬鹿騒ぎ、なんていう行き過ぎた行為は、無粋以外の何ものでもありませんが、美しく咲き誇った桜の花の下にござを敷いて、桜を肴に一杯・・なんてのも、また粋。
この花の下に座って眺めるというスタイルは日本独自のモノなのです。欧米ではバラを、中国では牡丹を鑑賞する事はあるものの、咲いている花を外から眺める事はあっても、花の木の下に座るという事はございません。
日本には古くから、自然に生命力を感じてそれに直接触れる事で、自然からの力を得ようとする考え方があります。
また、植物には精霊が宿っているという考えから、花の下に入って精霊からの力を得ようとしたといいます。
これが花見の原点であります。
年越し蕎麦
戦国時代まで、蕎麦は蕎麦粉をお湯で練った『蕎麦がき』や、蕎麦粉をお団子にして焼く『蕎麦餅』にして食べており、今の様に細長いスタイルになったのは、江戸時代以降の事。
最初の内は『盛り蕎麦』しかなくて、その内に蕎麦につけ汁をかけて食べる『ぶっかけ蕎麦』が登場、その後に蕎麦と汁を温めてたべる『掛け蕎麦』が登場しました。
そんな訳で、蕎麦の食べ方としては盛り蕎麦の方が古く、正式とも云え、その為に現代でも、年越し蕎麦や引っ越し蕎麦などの縁起物として蕎麦を食べる時は盛り蕎麦で、とこだわってらっしゃる人もいらっしゃいます。
ただ、年越し蕎麦の起源は、細長い蕎麦の形状から、寿命や繁栄が長く続く事を祈ったという説が有力であるそうです。
蕎麦のスタイルではなくて蕎麦そのものに意味があるという事です。
話のついでに、蕎麦つながりで『引っ越し蕎麦』。
昔から日本には、引っ越しの際には近所の方々に、お餅やアズキを配る習慣がありました。『お近づきのしるし』で、そうする事で地域の一員として認めてもらおう、人間関係を円滑にしていこうという気持ちがありました。
その贈り物として『引っ越し蕎麦』を用いる様になったのは、江戸時代の中期になってから。
蕎麦に『傍に置いて下さい』、『蕎麦の様に、末永いお付き合いを』という2つの意味を込めて、配る様になったと云います。
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