ラブレター





生まれて初めてラブレターを書いたのは、中学1年生の時。
大好きだった2つ上の先輩に、真っ白い便箋に緑のペンで綴りました。
『付き合って下さい』とか、そういう言葉は一切無くて、
ただ『好きです』という言葉と、自分が誰かという事を書いて終わったものでした。


部活も委員会も学年も違う彼とは、どこにも接点がなかったので、
彼はわたしの存在を知りませんでした。
なので、自分が何年何組の誰であるという事、どこで彼の事を好きになったのかという事、
そんな事を書いたのでした。


面と向かって云うだけの勇気はなくて、必死に考えた結果がこの手紙。
当時から文章を書く事が大好きで、口で何かを伝えるという事が何より下手で。
大好きだったから、大好きな彼にはきちんと想いを伝えたかったから、
下手くそな字と下手くそな文面で、想いをぶつけました。
想いは結果として実らなかったけれど、あの時の便箋に篭もった熱を未だに思い出せるし、
その後の彼の優しさは、今でも心を温かく、そしてほろ苦く、満たしてくれます。


真夜中に書く文章は想いが溢れ過ぎて、読み手に痛みを与える事もあるけれど、
わたしはこの熱を、読んでくれる相手に伝えたい。
口で伝えきれない分、ここから溢れる想いを感じて欲しいと思うのです。
相手の事を思いやれない、ただの我が儘でしかないのかも知れないけれど、
人を好きになる最初のきっかけなんて、想いを伝えたいと思うきっかけなんて、
誰も皆、自分がその人の1番になりたいという自己アピールであり、
我が儘の塊だけではないでしょうか。


そんな我が儘が篭もった、送った手紙の数々は、当然の事ながら手元には残らず、
ただの終わった傷跡であっても、何ものにも替え難い愛しい想い出。
わたし自身は、ラブレターを貰った事は無いのだけれど。







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