食のお話  


食にまつわる楽しいお話。
食べる時にちょっと思い出してみて下さい。




『おはぎ』と『ぼたもち』

この2つ、何が違うかといえば、呼び名が違うだけなのです。
うるち米ともち米を混ぜて蒸し、ついて丸めた餅をあんこで包んだモノがコレ。製法はどちらも同じです。
では何が違うのかといえば、食べる季節によってそれぞれの名前で呼んでいるのです。
春は牡丹の花が盛りなので『ぼたもち』と呼び、秋は萩の花が盛りなので『おはぎ』と呼ぶのです。
最近では、『ぼたもち』という響きよりも『おはぎ』の方が、響きが良いという事と上品に聞こえる事もあり、季節を問わず『おはぎ』という名前を使うお店が増えて来た様です。

また、おはぎには『北窓』という別の呼び名があります。
普通の餅をつくのとは違い、炊き合わせたうるち米ともち米とをすりつぶして作る事から、『つき要らず』を『月入らず』にかけております。北側の窓からでは、月光は入りにくいですからね。
お彼岸におはぎを食べる様になったのは、江戸の中期以降。
江戸時代の庶民には、お彼岸になるとおはぎを作って配る習慣がありました。お彼岸の時だけではなく、祝い事などの特別な日にはおはぎを配っていたんだそうです。



おにぎり

実は稲作が始まったばかりの弥生時代には、おにぎりはあったと云われております。ただ発見された時のおにぎりらしいモノの化石の形状から、『おにぎり説』と『ちまき説』とに別れております。
文献に残る最古のおにぎりは、平安時代の携帯食『屯食(とんじき)』。蒸したご飯に塩をつけてにぎり、木の葉で包んだモノ。塩にぎりですね。
塩で味を付けたのは腐敗を防止する為、葉に包んだのは通気性を確保する事で乾燥を防ぐ為で、立派な保存食でありました。
おにぎりが海苔で包まれる様になったのは、室町時代になってからの事。
海苔はそれ以前にもございましたが、高級品で一般の庶民が手軽に口に出来る様な代物ではありませんでした。

おにぎりの形にも注目です。
三角形のおにぎりは、『心臓の形を象徴したモノである』という説があります。
関東のある地域では、普段は丸くにぎるおにぎりを、不祝儀の席では三角形ににぎって食べるんだそうです。関西のある地域でも、祝儀には俵型のおにぎりを使い、不祝儀には三角形を食べるんだそうです。三角形はその形から、『角を立てる』という事で祝儀には用いられないとも云われております。
しかし、これが逆になる地域もございます。
九州に程近いある地域では、普段は三角形で不祝儀には丸、関東の別の地域でも祝儀には三角、不祝儀には俵型という、その土地によって形が違って来るのです。



正月魚

お正月には一家の繁栄を祈り、家族揃って魚を頂く習慣がございます(『魚は嫌いだから食べないっ!』という、無粋な事は云わずに(笑))。
その時に食べる魚の事を『正月魚』、『年取り魚』と呼びます。
物資を人力にしか頼る事が出来なかったその時代、海から遠く離れた内陸の地域などでは、干物ではない魚は文字通り貴重品で、正月の時だけの特別なもの、贅沢品として食べたのだそうです。

正月魚の代表といえば、東日本では鮭、西日本では鰤(ブリ)。どちらも保存しやすかったという共通点があります。
何故、東と西とで違うのかといえば、単純に東では鮭が、西では鰤がよく捕れたから。
この両者の境界線は、長野県。東部では鮭を、西部では鰤を食べるのだそうです。
天下分け目、ですね。



雑煮の餅

お雑煮に入れる餅は、関東では角餅、関西では丸餅が一般的です。焼餅、煮餅、あんこ入りなどの違いもありますね。
スーパーで売られている餅は角餅が主力ではありますが、丸餅が餅としては正式であるといいます。
餅は神聖な儀式に用いられていたモノ。円には霊が宿ると考えられていた事、満月に豊作を祈願した事から、それにあやかって丸餅を食べる様になりました。

それでは何故、東と西とで形が違うのか???
角餅は丸餅よりも簡単に作られるもの。餅を伸ばして切るだけですからね。丸よりも手間が幾らかかかりません。
江戸っ子気質、せっかちな関東人が面倒がって、切りっ放しの餅を入れた事が始まりと云われております。











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