疾風
疾風・・と云われても。
疾風って何ぞや、というトコロから始めてみましょうか。
辞書を引いてみると、『急に吹く強い風。暴風』との事。
風に身を委ねると、何とも心地良い。
「髪が乱れる〜!」なんて事は、余り考えないのでね。ひたすら風を体で受け止めて。
疾風の如く激しいのは、自分自身の心の内。
穏やかに凪いでいる時よりもむしろ、以前は激しく吹き荒れている時の方が、遥かに多かった。
気持ちが上がっても下がっても、その振れはとても大きくて、その強さに自分自身が倒れそうになる。
内側から外へと風が流す事が出来たならば、被害はもっとずっと少なく済んだろう。
けれど、それを外へと流れる事を他ならぬ自分が許さず、
あくまでも自分の内側でのみ、激しく渦巻く事をよしとしていたので、
風が通り過ぎた頃には、色んなものが乱れ壊れてしまっていた。
そこに残るのは、風が通った跡だけ。
散らばる残骸を、まるで他人事の様に見詰めるだけ。
自分との折り合いが段々つけられる様になってからは、疾風が吹き荒れる事は格段に少なくなった。
けれど、時には風に身を委ねて、激情に呑まれるのもいい。
風の通り道を作って、激しさを外へ向けて。
そうして新たに、自分の内側に風を吹き込む。
そうして新たなステージに立てるだけの自分が現れる。
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