梅雨が明けて、暑い陽射しと共にどこまでも深い青い空がやって来た。
ついこの間、彼から云われた別れの言葉を思い出す。
彼が放った言葉の裏にある本当の意味を想ったら、
太陽の煌きは一層強くなり、そしてじんわりと空が滲んだ。
少し前迄、体温が伝わる程に、彼を感じる事が出来ていたのに、
どうして今は、こんなにも遠いのだろうかと。
唇を噛み締めながら1人、空から目を逸らした。


空は永久ほど高く思えた。
そんな中で自分は、たった1人きりだと泣いた。
彼の優しさを知ってしまった今、1人でなんか生きてはいけないと、しがみつきたかった。
けれど、しがみつきたい本当の相手は、今は既に遠く。
遠く、遠く。


ひとしきり泣いた後、ふと顔をあげると、さっきと変わらぬ空がそこにあった。
そうして気付いた。
この空の一続きに、彼が居る事を。


いつか一緒に見上げた、あの空と同じ空の下に彼が居る。
彼が云った一つ一つを、ゆっくりと思い返してみる。
・・大丈夫。まだ大丈夫。
あの人が頑張っている今、ここで踏ん張らなかったらどこで踏ん張るの。


それから幾つもの季節が空を彩っていった。
夏から秋へ、秋から冬へ、そして春へと。


あの日の空の色を、今でも覚えている。
そうしてきっと、ずっと忘れる事はないだろう。
空に誓ったあの想い。
青空が茜色に変わる、ほんの少し前の時間。







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