あの人の事を思い出す時、決まって出て来るのは背中。
とても淋しげな後ろ背が、ぼんやりと浮かんでいたあの闇。


思春期の只中にあった当時。
大好きだったあの人は、戀子より1つ上でした。
大人と子供の狭間にあったあの頃は皆、若いエネルギーを体いっぱいに持て余していて。


彼もそんな中の1人であった筈なのに、
みんなの輪の中にあっても、いつもどこか遠くに居るかの様な・・
そんな人でありました。


あの夜。
今の自分が見れば、本当に子供同士の幼い議論の場であったと思うけれど、
当時はみんな、それぞれが必死で。
そんな必死さを受け留めなければならない立場にあった彼は、
その細い体で、どうにかして昇華しようと懸命でありました。
でも若さというのは本当に残酷。
終わってしまえばそんな事はどうでもよく。


そんな中。
友達と一緒にその場から出、ふと見やると、夜の闇に小さく浮かぶ彼の背中。
皆から離れ、灯りさえないその場所で、
消えてなくなってしまいそうなその背中を見つけてしまいました。


・・皆の笑い声は随分遠く。
腕を引かれながらも、彼から目を離す事が出来ませんでした。


・・この人を守らなくては・・


生まれて初めて、1人の男性に対して強く思いました。


それまでも彼の事は好きで、何かのきっかけさえあれば気持ちを伝えようと、
そんな風に思っていたのだけれど。
この闇の中で見た彼の背中をきっかけとして、
彼への『好き』の種類が変わったかも知れません。


闇を思い出す時、いつも決まって思い出すのはあの背中。
今もあの背中をして、どこかで暮らしているのだろうか。
あの背中を抱きしめてくれる人と、一緒に暮らしているのだろうか。







SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送